①「ここじゃないわ~」C'est pas ici

今から15年ほど前、語学の勉強のため、フランスに行く機会がありました。
行った先はフランス中部、オーヴェルニュ地方にあるヴィシーVichy。
日本でも人気のミネラルウォーター「ボルヴィック」Volvicの産地から
ほど近いところにある、温泉地として有名な街です。
パリからは電車でも約3時間と、離れているけれど、
その分プロヴァンスにはすごく近い。
(地図の上では・・・でも、フランスは広いですから^^;)
滞在は6週間。
語学学校は月曜日の午後から金曜日の午後まで。
最大がんばれば、金曜日の夕方から月曜日の昼まで時間はある。
季節もちょうどラベンダーが開花する7月後半から8月中旬。
これはもう、「ラベンダーを見に行くしかない!」
「一面青紫色の大海原が見られるんだよ~~
自然界の色で、一面緑色とか青とか黄色とかはあるけれど
一面青紫色なんてなかなかないよ~~~
とにかくすごいんだから===」
と、周りの友だちも巻き込んで
ラベンダー見物の旅に出ることにした。
とはいえ、今のようにインターネットもないし
日本から持参したガイドブックにもほとんど書かれていなくて
とにかく情報がない。
相談したホームステイ先のマダムが
市内にある観光案内所まで同行してくれて
どこに行ったらいいのかを尋ねてくれた。(なんと親切なこと^^)
フランス語歴はわずか3カ月足らず
初心者もいいところのわたしである。
「ラベンダーが見たいの・・・」とドキドキしながら聞いたわたしに
「それならグラースGrasseね!」
「グラースにいったらいいわ~」と教えてくれた。
「そう!グラースねっ!」
それから駅に行って、無事に切符も手配OK。
7月下旬の週末に出掛けた。

フランスの交通は、縦方向は比較的便がいいのだけれど、
横方向はまったくもって便がわるい。
横方向の移動は接続も悪く、思いのほか時間がかかる。
おまけに電車には冷房がない。
いくら空気が乾燥しているといってもさすが7月の車内は蒸し暑かった。
(一面のラベンダー畑を見るためならがまん、がまん)
ヴィシーを出発した金曜日は、時間的に余裕がなく、マルセイユ止まりとなった。
翌朝、いよいよ待望の「ラベンダー畑」とご対面~
と期待に胸をふくらませて、いざグラースへ。
マルセイユからさらに電車でカンヌまで。
カンヌからはバスで約25分。
いよいよだわ、いよいよだわ、と思うものの・・・
家ばかりが立ち並び、一向に「それらしき風景」が見えてこない。
山を登って行くのだが、行けども行けども街が続く。
んん??なんで??
途中、ロンパン(ロータリー)に少しばかりラベンダーが!
あった、あった、ほ~らやっぱりあった。
きっともうすぐ一面のラベンダー畑が見えてくるはずよ~~
・・・と、そうこうしているうちに終点のグラースに到着。
えっ?ええ??ここ??
ラベンダーはどこっ??
どこにもラベンダー畑どころかラベンダーの株さえもない。
そっ、そんなぁ、、、
仕方がないので近くにあった観光案内所で聞いてみた。
「ラベンダーが見たいの・・・」
「???」
いえいえ、そうじゃなくて
「ラベンダー“畑”が見たいの・・・」
彼女は答えた。
「C'est pas ici.(ここじゃないわ~~)」
え~~~そ、そんな、、、
その時初めてグラースが“香水の町”であることを知った。
「ラベンダー“畑”ならディーニュDigne-les-bainsね。」
途方に暮れた私たちに、彼女は教えてくれた。
「ディ、ディーニュ??
それって、ここから行けるの??」
悲しきかな、ディーニュはもっと北の方で、とても行けるところではなかった。
そ、そんな~~~
日本語で考えると
「ラベンダー畑が見たい」=「ラベンダーが見たい」でも
十分に通じるように思うけれど
「ラベンダー“畑”が見たい」と言わないといけなかったのですね・・・
あ~~~~~~~
その時は、もうショックもショックで
え~~いっ、もうここにいる必要はない、長居は無用、とばかり
さっさと折り返しのバスに乗ってグラースを早々に後にし
モナコに目的地を変えてしまったのでした。
・・・今思えば、香水に携わる人たちにとっては憧れの地
数々の名香を生んだ“香水の都”といわれるグラースの街です。
産業革命後、従来の香料に加えて、
近くで収穫できる野生のラベンダーに注目した香料会社が
グラースへ進出してきました。
そのことがきっかけとなって、
プロヴァンス地方に、香料用のラベンダーとラヴァンディン栽培が広まっていった
刈り取られたラベンダーたちは、グラースの工場に運ばれて香料になった
それを考えればグラースはいわば“ラベンダー畑”のルーツ。
決して無関係ではない・・・
今さらですが・・・
あ~あ、しっかり見ておけばよかったな・・・
ちょっともったいないことをしました。
「ここじゃないわ~」C'est pas ici.
忘れたくても忘れられないワンフレーズです。
南仏プロヴァンス、ラベンダー畑探しの旅はまた振り出しにもどってしまいました。
横方向はまったくもって便がわるい。
横方向の移動は接続も悪く、思いのほか時間がかかる。
おまけに電車には冷房がない。
いくら空気が乾燥しているといってもさすが7月の車内は蒸し暑かった。
(一面のラベンダー畑を見るためならがまん、がまん)
ヴィシーを出発した金曜日は、時間的に余裕がなく、マルセイユ止まりとなった。
翌朝、いよいよ待望の「ラベンダー畑」とご対面~
と期待に胸をふくらませて、いざグラースへ。
マルセイユからさらに電車でカンヌまで。
カンヌからはバスで約25分。

いよいよだわ、いよいよだわ、と思うものの・・・
家ばかりが立ち並び、一向に「それらしき風景」が見えてこない。
山を登って行くのだが、行けども行けども街が続く。
んん??なんで??
途中、ロンパン(ロータリー)に少しばかりラベンダーが!
あった、あった、ほ~らやっぱりあった。
きっともうすぐ一面のラベンダー畑が見えてくるはずよ~~
・・・と、そうこうしているうちに終点のグラースに到着。
えっ?ええ??ここ??
ラベンダーはどこっ??
どこにもラベンダー畑どころかラベンダーの株さえもない。
そっ、そんなぁ、、、
仕方がないので近くにあった観光案内所で聞いてみた。
「ラベンダーが見たいの・・・」
「???」
いえいえ、そうじゃなくて
「ラベンダー“畑”が見たいの・・・」
彼女は答えた。
「C'est pas ici.(ここじゃないわ~~)」
え~~~そ、そんな、、、
その時初めてグラースが“香水の町”であることを知った。

「ラベンダー“畑”ならディーニュDigne-les-bainsね。」
途方に暮れた私たちに、彼女は教えてくれた。
「ディ、ディーニュ??
それって、ここから行けるの??」
悲しきかな、ディーニュはもっと北の方で、とても行けるところではなかった。
そ、そんな~~~
日本語で考えると
「ラベンダー畑が見たい」=「ラベンダーが見たい」でも
十分に通じるように思うけれど
「ラベンダー“畑”が見たい」と言わないといけなかったのですね・・・
あ~~~~~~~
その時は、もうショックもショックで
え~~いっ、もうここにいる必要はない、長居は無用、とばかり
さっさと折り返しのバスに乗ってグラースを早々に後にし
モナコに目的地を変えてしまったのでした。
・・・今思えば、香水に携わる人たちにとっては憧れの地
数々の名香を生んだ“香水の都”といわれるグラースの街です。
産業革命後、従来の香料に加えて、
近くで収穫できる野生のラベンダーに注目した香料会社が
グラースへ進出してきました。
そのことがきっかけとなって、
プロヴァンス地方に、香料用のラベンダーとラヴァンディン栽培が広まっていった
刈り取られたラベンダーたちは、グラースの工場に運ばれて香料になった
それを考えればグラースはいわば“ラベンダー畑”のルーツ。
決して無関係ではない・・・
今さらですが・・・
あ~あ、しっかり見ておけばよかったな・・・
ちょっともったいないことをしました。

「ここじゃないわ~」C'est pas ici.
忘れたくても忘れられないワンフレーズです。
南仏プロヴァンス、ラベンダー畑探しの旅はまた振り出しにもどってしまいました。
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