ラベンダーの収穫から精油製造まで

(1)収穫
ラベンダーは満開になると香りの成分が揮発して
精油の質が落ちてしまうため
花が咲き始めたらすぐに収穫します。
真正ラベンダーなど、株の小さいものは
シッケルというラベンダー刈り専用の三日月形のカマで
1株分を一気に刈り取っていきます。
鋭利な刃でざくっざくっと刈るたびに
芳香のしぶきが辺りに飛び散ります。
以前はすべてこうした手作業で刈り取っていました。
1952年頃から機械化が進み、ラバンディンのように大きなものは
トラクターで畝を一気にザーっと豪快に刈り取るようになりました。
1日で3~4ヘクタール処理することができるといいます。
1株でもかなり香ると思いますが、
機械で大量に刈り取った場合
どれほどの芳香がするのでしょう。
遠く離れたところまで香りが届きそうです。

(2)乾燥

収穫は午前中まで。
真正ラベンダーは、その日刈り取った分は乾燥小屋へと運ばれ
木枠に掛けた状態で約3週間、ゆっくりと乾燥させていきます。
ラバンディン畑の場合は、
数日間、刈り取られたあとの畝の横で干して、
余分な水分を飛ばします。
(3)水蒸気蒸留 Alambic à vapeur
ラベンダー生産でもっとも大事なものが
エッセンシャルオイル(精油)です。
プロヴァンスでは、何世紀にもわたって
いかに多くの精油を採取するか
蒸留技術が改良されてきました。

大きな蒸留釜に刈り取ったラベンダーを重石を使ってかたく詰め込み
下から水蒸気を通します。
(釜に水を入れて下から熱を加える方法ありました。)
蒸気となった芳香成分を冷却層で冷やすと、水と精油の混じった液体になります。
精油は水よりも軽いのでタンクの上部の層に集まります。
最高の時期に刈り取り、一気に蒸留。
上質の精油を、より多く抽出するためには、
収穫から蒸留まで、作業ごとのタイミングがとても重要です。
現在では1000リットル以上の大型蒸留器が主に使われていますが
その昔は村はずれにある小さな蒸留小屋で抽出されていたそうです。
今でこそ数は少なくなったようですが、今でも小さい村などでは
見つけることができるそうです。

わたしがピュイモワッソンPuimoisson近郊で見た蒸溜所も
そんな工場というような大きなところではなく
ちょっと道から歩いて入っていったような場所だったので
昔ながらの蒸留小屋だったような気がします。
辺りには刈り取ったラベンダーがこぼれていて
小屋の中からはラベンダーの芳しい凛とした香りが
あたり一面に香っていたのを覚えています。
蒸留が済んだラベンダーの茎は燃料として再利用され
燃え残った灰は再び畑にもどされるといいます。
無駄のない自然のリサイクルには脱帽です。
プロヴァンスの人たちが、長い歴史の中で、
いかにラベンダーを愛し大切にしてきたか
その深い思いが伝わってくるようです。

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