さまざまな仲間たち

ヨーロッパ各地で盛んに品種改良が行われたことや、
交雑種を生じやすい性質のために、品種名や学名はかなり混乱しています。
また植物学上の分類では同一品種であっても
産地により抽出されるオイルの成分構成や香りが異なる事から、
生産地名を加えて区分しているものもあります。
ここでは花や葉の特徴から、大きく5種類に分けて紹介します。


(1)アングスティフォリア系
Lavandula angustifolia(以前はLavandula officinalis)
ラベンダーの代表的な種類。
ラテン語でアングスティは「細い」フォリアは「葉」を意味するように
細い葉を香りのよい花穂が特徴。
真生ラベンダー、トゥルーラベンダー
イングリッシュラベンダー、コモンラベンダーなどと呼ばれます。
花の色も、香りもラベンダーの中では最高。最も魅力的です。
芳香が強く、乾燥させても色があせないので
リースやポプリ、スティックなどの香りのクラフトに最適。
飲み物やお菓子、美容、ハーブバスにも適しています。
アロマテラピーとして使う精油は、その質と効能の高さから
アングスティフォリア系のもの、中でも
真生ラベンダーを使うことをおすすめします。
(※芳香成分を参考に)
わたしが好きなのも、このアングスティフォリア系。
見てもよし、匂ってよし、食べてもよし
花から茎までまるごと、1年中
楽しませてくれるラベンダーの中のラベンダーです。
このサイトでは、このアングスティフォリア系と
次のラバンディン系にテーマを絞って紹介しています。
☆品種
ヒッドコート Lavandula angustifolia hidcote
マンステッド Lavandula angustifolia Munstead
トウィッケル・パープル Lavandula angustifolia Twickel Purple
オカムラサキ Lavandula angustifolia Okamurasaki
※1937年にフランスから取り寄せたタネを北海道で試験栽培し、香料用に選抜した品種。
ロゼア Lavandula angustifolia Rosea
やさしいピンク色の花、さわやかな甘い芳香が魅力
ナナ・アルバ Lavandula angustifolia Nana Alba
別名「ベビー・ホワイト」白い小さい花が愛らしい

白い花もかわいらしいです^^
☆栽培・利用上の特徴
耐寒性は優れていますが高温多湿の日本の夏(特に梅雨時)に弱く
暖かい地方では長く株を維持するのはかなり難しく
3~5年が目安。株の更新が大事。
長雨や西日は避けて移動できるように鉢植えで栽培するのも1つの方法。
ちなみに、昨年から栽培に挑戦してベランダで鉢植え育て中なのが
アングスティフォリア系の「バイオレットメモリー」

「香水の材料にもつかわれるほど、すばらしく良い香りの
濃い紫色の花を咲かせます。
オイルやドライフラワーにお薦めです。」
【用途】オイル、ドライフラワー、ポプリ、ハーブバス、ティー、菓子など
・・・とのこと。
オイルなぞ採れるのはいつのことやら・・・
初心者も初心者なので、毎日おろおろ見守っています^^;


(2)ラバンディン系
Lavandula x intermedia(英:Lavandin)
アングスティフォリア系とスパイクラベンダーの自然交雑、または
人為的な交配によって生まれる。
美しい花、強い芳香、上質の精油が採れるアングスティフォリア系と
野性味のある香りに加えて丈夫な性質をもつスパイクラベンダーの長所を合わせた
いわば「いいとこどり」のラベンダー。
外見からはアングスティフォリア系と見分けがつかない場合もあります。
主に香料用の精油を採るために品種改良。
アングスティフォリア系よりも多量の精油が採れる。
香水や化粧品のほか、わずかにカンファー(樟脳の香り)を含むので
石けんや清掃用具などの香料に用いられています。
ラバンディン系のラベンダーは成長が早く
大株で、花穂が大きく、花の色も美しく見栄えがします。
☆品種
グロッソ Lavandula x intermedia Grosso
スーパーセビリアンブルー Lavandula x intermedia cv.
※日本の気候に合うように品種改良されたもので、土地を選ばずよく見かける品種です。
アブリアリ Lavandula x intermedia Abrialii
☆栽培・利用上の特徴
花穂と花茎が長く、大株に育ちます。
高温多湿や病気にも強く、日本の暖かい地方でも育てやすいです。

(3)ストエカス系
Lavandula stoechas
丸みを帯びた花穂の先端にあるウサギの耳のような形の苞葉(ほうよう)が特徴。
ストエカスラベンダーのほか、フレンチラベンダー、
スパニッシュラベンダーとも呼ばれています。
葉に樟脳(しょうのう)とミントを合わせたような香りをもつ。
古代ギリシャ・ローマ時代には、このストエカスラベンダーが
薬草として、痛み止め、殺菌、消化促進、虫よけ、鎮静などに用いられていました。
現在は主に観賞用に栽培。
☆品種
キューレッド Lavandula stoechas Kew Red
エイボンビュー Lavandula stoechas Avonview
ヘルムスデール Lavandula stoechas Helmsdale

(4)デンタータ系
Lavandula dentata
デンタータとは、ラテン語で「歯のような」という意味。
歯のような切れ込みの入った葉をもつラベンダーを
デンタータと呼びます。

↑のこぎりの歯のようにギザギザです
別名をフリンジドラベンダー、キレハラベンダー、フレンチラベンダーともいいます。
花穂の先端に、フリンジのような小さい薄紫色の苞葉(ほうよう)も特徴です。
草全体に強い香りがあります。
花期は冬から春まで続く。

(5)プテロストエカス系
Pterostoechas
他のラベンダーの姿形や香りとは、ちょっと異なるタイプです。
近年、この系統に含まれる種類が数多く出回るようになり、
さまざまな名前がつけられ、出元のはっきりとしないものも多くなっています。
いずれの品種も香りはありますが、ハーブとしての利用には不向き。
香りのある観賞用植物として楽しむことができます。
どれも寒さに弱いのも特徴です。

(6)その他
スパイクラベンダー
Lavandula Latifolia
学名のLatifoliaは「大きな葉」の意味。
性質も香りも野性的な遅咲き種。
花の色はグレイがかった紫色で、小さくあまり目立たない。
カンファー成分(樟脳のような香り)を多く含み、
昔は毒ヘビに咬まれた犬の応急手当に傷口にすり込んだといいます。
日本の暑さにも比較的よく耐える。
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